カイザーの生まれ故郷に興味は湧いたが、今のオレにはヨハンがいる。
オレが闇の世界から身を引こうと決心させてくれたのはヨハンだ。
オレはヨハンの事を天上院に説明した。

「えぇええぇぇ、十代くーん・・・。キミもうそんな相手見つけたのかい?天国の亮が知ったら・・・驚いて生き返るんじゃないの?はははっ」

天上院は最初目を丸くして驚いていたが、最後は笑って祝福してくれた。
その笑顔によって、二度と戻れないと思っていた生活に、いや、元の世界に戻れると・・・そう感じていた時に天上院が交換条件を突き付けてきた。
未報酬でリスクだけを負担させてしまった事にオレは負い目がある。
裏の社会で銃器の調達をしている事の口止めはもちろん、他の条件だって呑もう。
そして、天上院が出してきた交換条件は、天上院らしい条件だった。

「今後、僕の事を呼ぶ時は『吹雪さん』って呼ぶんだよ。僕たちが闇の世界で共に生きた証として」


・・・。


なんで真剣にそんな条件を言うんだろう?

「亮はボクを『吹雪』って呼んでた。一度きりであっても、十代くんは僕の相棒だ。他人行儀な呼び方は認めない・・・」

どこまで本気なんだ、この人は・・・?

「さっそく呼んでみて、十代くん。『吹雪さん』ってね」

この無茶で強引なトコロは・・・カイザーにそっくりだ。


・・・。


「ほら」

仕方ない・・・。

「・・・ふぶき・・・さん・・・」
「何、何?小さくて聞こえないなぁ・・・。どうせなんだから威勢よく大きな声で呼んでくれない?ねっ?」
「吹雪さんっ!」
「・・・なんだか・・・照れてしまうね。はははっ」

満足気に笑う吹雪さんの笑顔が新しい生活への期待を高めてくれるのだった。










ヨハンの待つ家に戻ると、玄関の前でオレを待つ姿が見えた。

「ヨハン・・・!どうしたんだ?」

駆け寄ると、ヨハンがホッとしたような笑みを浮かべた。

「十代・・・。やっと帰ってきた・・・」

オレに覆い被さるように抱き付き、唇を重ねられる。

「ふぅ・・・ん・・・ぅ・・・」
「ん・・・ぅ・・・う・・・」

舌を絡められ、甘い感覚が体を襲う。
体中の力が抜けて、ヨハンの支えなしでは立っていられない。
唇が離れる頃には、オレは完全に腰が抜け、ヨハンに抱き上げられている状態だった。

「ヨハン・・・、ここ外・・・」

唇が離れ、抗議するように言うと、ヨハンがテレたように笑った。

「ごめん・・・。我慢出来なくて・・・。ずっと、待ってたんだ。・・・中、入ろうか・・・」

頷くと、ヨハンは立てないオレを抱え上げた。

「うわぁ・・・」

まるでお姫様のようだ。
赤面しそうな抱き上げ方に抵抗する。

「やめろ・・・よ。これ、恥ずかしい・・・」
「何、言ってんだよ。誰も見てないんだしさ」

不安定な感覚に、思わずヨハンの首に腕を絡ませた。
ヨハンの吐息が耳にかかるのがくすぐったくて、思わず体を縮める。
ドアを開け、玄関に入ると、ヨハンはそのまま部屋へと直行した。
部屋に入ると、ヨハンはすぐに唇を重ねてきた。

「十代・・・・・・・」
「んぅ・・・はぁ・・・ん」

角度を変えて、全てを奪いつくすようなキス。
絡み付く舌が、甘くオレを吸う。
そのままベッドに倒れ込み、ヨハンはオレの服をゆっくりと剥いでいった。

「好き・・・だよ、十代・・・」
「ん・・・アッ・・・やぁ」

ヨハンの掠れて低くなった声が、オレの耳朶を刺激する。

「ずっと・・・オレ、いつか十代と、って・・・ずっと、ずっと思ってた・・・」

胸の突起を潰すように指が押し当てられ、大きく体が跳ねた。

「十代・・・、ここ・・・敏感なんだ?」

オレの感じる場所が分かると、ヨハンは嬉しそうに笑う。
オレはその言葉に恥ずかしくなって、ヨハンを見ないように横を向いた。

「こぉら、テレんなって・・・」

含み笑いをしながらヨハンはオレの乳房に舌を乗せた。
猫がミルクを舐めるように乳首を舌先で刺激してくる。


熱い・・・。


体中が熱くて、どうにかなりそうだった。
ヨハンの髪に指を絡ませ、その場所から引き離そうと試みる。

「ひぃ・・・やぁ・・・ぁ・・・」

それを嫌がるように、ヨハンが乳首に噛み付く。
痺れるような感覚がオレの体を走り抜けた。

「やぁ・・・んん・・・やめ・・・、ソコばっか・・・」

ヨハンはオレの言葉を気にせず、丹念に胸を舐め続ける。
耳に恥ずかしい音が響き渡った。

「ほら、ピンク色に尖ってきた・・・」

嬉しそうなヨハンの声。
指で乳首を捻り、周りを舌で舐めた。

「ひぃ・・・あ・・・ふ・・・ぅ・・・」

痛いくらいの感覚に体が大きく震え出す。

「ハハッ。気持ち良さそう・・・、十代・・・」

嬉しそうなヨハンの声と共に、ジーンズのファスナーの音が聞こえた。
下着ごとジーンズから足を引き抜かれ、オレは生まれたままの姿をヨハンに見せている事にオレは気付く。

「綺麗だぜ、十代。十代の白い肌が赤く色づいて・・・」
「あぁ・・・ん・・・ん・・・」

乳房を下からぐるりと指で撫でられる。
そのままヨハンの手が胸から腰、そして・・・足の間に流れていった。
優しく、オレの敏感なソコを慈しむように触れてくる。

「ア・・・ッ・・・ッ」

既に濡れているその場所がヨハンの指に擦られて、グチュッと淫猥な音を立てた。

「十代・・・」

気付いた時にはヨハンの頭が足の間に潜り込んでいた。

「ヨハン・・・っ!やめ・・・ッ」

ヨハンの赤い舌がオレの敏感な所に絡み付き、溢れ出す蜜を啜る。

「やだ・・・、放し・・・て・・・。・・・ぁ・・・ん・・・」

何とかして、ヨハンをその場所から引き離したかった。
与えられる快楽と、身を焦がす羞恥がオレを苛む。

「はなして・・・いいの?」

ヨハンが顔を上げ、上目遣いでオレを見た。
その唇がオレの出したモノでテラテラと艶めいていて、ズクッと下腹が疼く。
ヨハンの舌から解放されて羞恥心がマシになったが、正直、物足りなくて体が燻られた。
だが、すぐにそれは違う感覚に侵され何も考えられなくなった。

「やぁ・・・だ・・・」

擦るだけだった指がズズッと奥に入ってくる。
オレの中に、ヨハンの細く長い指が入り込んで来てる・・・ッ!

「ひぃ・・・ッ。・・・あ、ヤッ・・・!」

体が大きく跳ねる。
ヨハンの愛撫に感じ、溢れていた蜜のおかげでか、簡単に入り込んだ指が体の中を縦横無尽に犯していく。
大きく胸を喘がせるとヨハンが心配そうにオレを見下ろしてきた。

「痛い・・・?ごめん、オレ焦ってて・・・」

そんな事を言いつつも、ヨハンの指の動きに止まる気配はない。

「だいじょ・・・ぶ・・・」

息が上がっていく。
指だけじゃ物足りなくて、ヨハンに腰を擦りつけてしまう。

「ヨハン・・・」
「何?」

ヨハンの朱に染まった目元を見ると、何だか恥ずかしい・・・。
愛おしげに見つめるヨハン。
オレが何を言いたいのか分かってるくせにワザと惚けた表情を浮かべている。

「も・・・、ソコ・・・」

挿れて欲しい・・・。
ヨハンの熱い塊を捻じ込んで、何も考えられないくらいに感じさせて欲しい。
無理やり体を起こし、ヨハンの唇を奪う。

「そろそろ、いい・・・か?」

唇を離すと、ヨハンが低い声でオレに聞いてきた。
頷くと同時に足を高く抱え上げられ、待ち望んだ熱い塊がオレの中に捻じ込まれた。

「あっ・・・ア・・・あ・・・」

シーツに指を絡ませ、入り込んでくる熱の重さに耐えようとする。
微かな痛みと圧迫感に切ない声が抑えきれず、短く漏れた。

「じゅう・・・だい・・・」

全てを収めきると、ヨハンは一度動きを止め、オレを幸せそうに見つめてくる。
指がオレの顔を撫でた。
それさえも快感になり、体がヒクつく。
何だろう、この感覚。
全身が性感帯になったような錯覚。
ヨハンと触れ合ってる部分から大きな快感の波が襲ってくる。

「十代・・・。すごく・・・あつ・・・い」

ヨハンが腰を進めてくる。
灼けるような熱さが体を裂いていった。

「あ・・・ヨ・・・ヨハン・・・、ヨハン・・・」
「ハァッ・・・ハァ・・・、じゅう・・・だい・・・」

互いに名前を呼び合う。
部屋を満たすのはオレとヨハンの荒い息とベッドの軋みだけだ。

「好き・・・だ。じゅうだい・・・」

耳元で囁かれ、体の奥から今まで以上の快感の波がオレを攫っていく。
徐々にヨハンの動きが早くなり、オレは何も考えられなくなっていった。

「あ・・・ア・・・ん・・・ああぁ・・・!」
「ん・・・くぅ・・・ッ」

喉から情欲に濡れた声が漏れる。
甘くて痛い感覚が体を支配し、全神経を研ぎ澄ましていく。
同時にヨハンの低く呻く声が微かに聞こえた。
ヨハンのモノがオレの中で大きく震え、灼け付くような熱い飛沫が体の中に流れ込む。
ヨハンがオレの上に倒れ込む瞬間、耳元で何かを囁かれた。

「え?」

オレが聞き返すと、ヨハンは笑いながら唇を重ねるのだった・・・。